離島医療への想い

■離島医療への想い

石橋興介37

福岡県出身

 

 

 

医師を目指したのは21歳の夏。

祖父・父が医師であったが、忙しそうに仕事をする父の姿を見て

それまで、医師になろうと思ったことは一度もなかった。

10代の頃から旅行好きで、八重山諸島や長崎の離島などを頻繁に訪れていた。

なかでも「竹富島」の自然や風土が一番好きだった。

そんな旅行中に、あるドクターの言葉に感銘を受けた。

「医療機器の揃っていない離島では、島での看取り率がとても低い、生まれ育った島で看取ってあげられるように自分はここで頑張っている」

この一言で医学部への進学を決意。

岩手医科大学に進み、臨床研修は沖縄赤十字病院で行った。

その後、故郷の福岡の医療機関で内科医として勤務していた最中、

突然見知らぬ番号から携帯電話に着信があった。

「竹富町役場」からの電話だった。

そして、竹富町立竹富診療所に赴任することとなった。

 

かし、待ち受けていたのは厳しい現実・・・・

 

 

 

 

■竹富島クライシス

赴任後、島の深刻な健康課題が問題となる。

【竹富島の健康課題】

①65歳未満の死亡率は全国平均のおよそ2倍、全国ワーストの沖縄県の値よりも高い。

②島民のメタボリックシンドロームの割合が高く、予備軍を含めると35%。

③竹富町を含む八重山地方の脳内出血の死亡率が男女ともに全国ワースト

という最新の結果が発表された。

⇒これまでは寒くて、塩分摂取が多い東北が脳内出血の死亡率が高いと見られていたが、

その「定説」を覆す結果となった。

①と②の背景には、運動習慣の無さや医療機関への受診率の低さが挙げられる。

また、多量飲酒などの生活習慣の著しい乱れが大きな原因となり

気づかぬうちに生活習慣病(高血圧・糖尿病・脂質異常症)が悪化。

その結果、脳卒中、心筋梗塞などが原因で倒れる人が増えるという悪循環に陥っている。

「住民の健康への意識改革」が必要だと感じ、様々な取り組みを実施。

●毎週火曜日は「脂肪を燃やそうの日」と定め、ウォーキングを定例化した

●定期的に診療所に顔を出してもらうために受診を「予約制」にした

●2~3ヶ月に1度のペースで医療講話を実施

これらの取り組みによって少しずつ住民の意識が変わりはじめている。

*この取り組みは沖縄県が健康づくりに力を入れる団体を表彰する「がんじゅうさびら表彰」でグランプリを獲得した

また③の最大の原因について、

脳出血が多い地域にも関わらず、石垣の拠点病院には脳神経外科がないことだと考えられる。

八重山諸島の基幹病院である八重山病院(石垣市)には脳神経外科医が2014年4月からいない。2017年6月には脳神経外科医が1名赴任する予定はあるが、それまでは専門医がいない。

現在、脳内出血は内科で診療・治療しているが、手術が必要な場合は県立宮古病院や沖縄本島の拠点病院に搬送している。しかし、脳内出血は一刻を争う重病。

そのほかにも八重山病院には心臓血管疾患を治療できる心臓血管外科が存在しないことも

危惧している。

■島を挙げての予防医学活動

離島僻地医療で最も重要なことは『病気にならないための自己防衛』、即ち予防医学である。

そのためには、虚血性心疾患・脳卒中の基礎となる生活習慣病(高血圧症・糖尿病・脂質異常症)の厳格な管理が必要となる。

現在、竹富島では、竹富町増進計画『ぱいぬ島健康プラン21』に基づき、

健康に関する推進部会を結成している。

『ぱいぬ島健康プラン21』は島で役職についている方、診療所スタッフ、保健師等を中心に他職種から構成されており、その活動内容は疫学データの共有やウォーキング・健康体操教室・体力測定会・医療講話の企画&運営実施&振り返りまで行い、そこに多くの地域住民を巻き込んでいる。

これらの取組みにより少しずつ島民の健康への意識が変わり始めている。

竹富島からエイエイ、オー!